曇りの日もヒコーキ撮影は楽しい

皆さまこんにちは!航空写真家の深澤明です。「さあ、今日はヒコーキ撮るぞ!」と思っていた日がドン曇りだとテンション下がりますよね。どうせなら晴れて欲しいし、視程が良い方がいい。それは当たり前の欲求です。だからこそ、見事に晴れ渡ったときには思わず「ありがとう!」と声に出してしまいます。

雨の日もなかなか面白いですけどね。

さて、曇りの日。どう楽しみましょうかね〜。

実は私、曇りの日大好き写真家であります。

「あまりいい空ではなく」。

「太陽の光がないから」。

「撮る気になれず」。

なんていう嘆きのお気持ち、よ〜くわかります。

がしかし!曇りの日には曇りの日にしか撮れない世界があるのですよ。

Nikon D5 80-400mm 1/30 f8 ISO800 ND-8フィルター使用 JPGFINE撮影 WB : 太陽光 Adobe Photoshop 2020でトーン調整

曇りだから「流して撮ろうか」というシンプルな話でまとめても良いのですが、実は晴天時に1/30や1/15で流すと、ヒコーキ以外の背景や手前の草などの色やトーンが邪魔をしてくる場合があるんですよね。

その点曇りだと背景はまるで水墨画のように淡く捉えることができてうるさくないですし、手前の草の色も目立ちません。

そして何よりも光が拡散されていて柔らかいですから、しっとりとヒコーキの周りを光が包んでくれています。

この写真に実力があるだろ?というつもりはないのですが、ドラマティックな色に染まった夕暮れをバックにしたり、虹と絡んでいたり、見事な自然現象と共に捉えたヒコーキ写真は確かに素晴らしい。しかしながら、写真の実力ってなんの変哲もないシーンにこそしっかりと現れるものです。恐ろしいぐらいに。

その際たるものが、曇り空でのヒコーキ写真、でしょうね。

Nikon D5 80-400mm 1/15 f8 ISO400 ND-8フィルター使用 JPGFINE撮影 WB : 太陽光 Adobe Photoshop 2020でトーン調整

露出もほぼ一定ですし、光が柔らかいのでディテールもよく見えます。

ヒコーキは雨の日も風の日も、嵐のときも雪のときも、もちろん晴れの日も飛んでいるのですから、それを撮ろうとする我々も全天候型思考でドンと構えておきたいものです。

そうしますとね、どんな日でもめちゃくちゃ撮影が楽しくなります。

Nikon D5 80-400mm 1/320 f8 ISO1600 C-PLフィルター使用 JPGFINE撮影 WB : 日陰 Adobe Photoshop 2020でトーン調整

光の捉え方として、ギラついた感じも質感表現としてはとても良いのですが、柔らかい光もなかなか楽しいものです。

自然にコントラストがついている晴天時などに、妙にフラットに撮って現像で無理やり仕上げるのは、不自然で気持ち悪い奇妙な写真になりますのでやめておきましょう。それがデジタルの可能性だと捉えるのはオススメしません。できるだけ自然の摂理に逆らわない方が良いです。それが写真です。あくまでも写真にこだわるのであれば特に。

上の写真は太陽光や曇天モードではやや印象が薄かったので、日陰モードにして撮影しています。このあたりはお好みで加減すれば良いと思います。

Nikon D5 80-400mm 1/320 f8 ISO3200 C-PLフィルター使用 JPGFINEモノクローム撮影 Adobe Photoshop 2020でトーン調整

これは極端な写真ですが、JPGFINE撮影で最初からモノクロームで撮影しても実に楽しいものです。色に惑わされず、光と影のみ。これは晴天時にもオススメしていますが、モノクロームで撮ると、適正露出や機体の白の表現、機体表面や主翼などの質感、明暗差などいろいろな気づきがあります。

写真を綺麗に仕上げるというもの確かに必要ですが、綺麗なだけが写真ではありません。カタログ写真を納品するわけではないのですから。あくまでも作品として世の出すものに「綺麗でなければ」という妙なこだわりは捨てても良いと思います。

「清濁併せ吞む器量」というではないですか。

実はこの言葉、鹿児島にいた学生時代にいつも鹿児島空港で撮影したネガフィルムやポジフィルムの現像を出していた、国分にあった「かじはらカメラ」さんのご主人にいただいた言葉なのです。

「深澤くんの写真は綺麗にまとまりすぎていると思う。清濁併せ吞む、という言葉を知っているかい?」

思えばあそこから始まっていたのかもしれません。

今日の取材の前後はドン曇りだったけれど、十分感性を刺激しながら撮影を楽しみました。