いい白ってなんだ?

昨日は羽田空港での取材の後、お世話になっているキャプテンとしばしデッキで撮影談義に華を咲かせた。とはいえ、その方と直接お会いできたのはとある初便での取材以来なのだが。普段からいろいろと声を聞ききながら話をしているので久しぶりにお会いした感じがまったくなかった。「Long time no see」なんだけどね、不思議な感じ。

ところでヒコーキ撮影をしていると「機体の白にこだわっています」という声をよく聞く。かくいう私もそうなのだが、最近は少し変化が現れてきている。

確かに抜けのいい白は見ていて気持ちが良いのだが、どこか作り物のような薄っぺらい物に見えてしまう。リアル感がない。

昼間の完全順光で、何も考えなくてもオートホワイトバランスでもしくは太陽光で完璧な白になる条件下はそれで良いのだが、色温度が落ちてきているにも関わらず無理やり白を白にしようとすると、違和感を強く覚えるようになってしまった。

この部分に実は深い意図や目的意識が伴っていないと、単なるつまらない感情論、気分屋の世界で終わってしまうから、いま少し筆を進める。実際には事務所にキーボードを叩く音を響かせるだけだし、こういう文字数稼ぎのようなことは書かなくて良いのだが、好きなように書くのが自分のブログだからね。

さて、意図や目的意識の話。

ド本気講座でも話をしたことがあるが

◯その機種の紹介写真の場合

白基調のカラーリングなら特に、色かぶりは邪魔なだけ。つまり白を白できっちり再現した方が良い。

◯ドキュメンタリー的レポートの場合

時間軸を感じさせることもレポートとして重要な要素なので、不要に色かぶりを取り除かなくても良い。

という基本スタンスでいる。

作品は自由で良いですよ。好きなのように表現すればいい。

私感としては、機体そのものをカッコよく撮りたい人は「白を白に」することにこだわりが強いようだ。

では、そもそも、いい白ってなんなんだ?

写真はデジタルでもフィルムでも共通して言えることは、オーバー目に撮れば白が白になる。

つまり、白いトーンが飛び気味もしくは飛んでしまえば、白が白になる。

へ?と思うかもしれないが、逆に適正露出の2段アンダーで撮れば、何色がかぶっているかが浮き出てくる傾向にある。

フィルム時代にはそれが顕著だった。

デジタルと違ってカラーフィルムには大きく「デイライト」と「タングステン」の2種類があり、それに白黒の「モノクローム」のフィルムがあった。

店舗など蛍光灯下の室内を「デイライト」フィルムで撮影すると、全体に緑色がかぶった。この緑色かぶりを補正するためにマゼンタ色のフィルタをレンズ前につけて撮影していたのだ。

色かぶり度合は「カラーメーター」と呼ばれる露出計とはまた違った機器を使い測定した。そうするとM5のフィルターで良いか、M10かM20かといったどれが最適なマゼンタ色の濃度フィルターなのかを予測できた。

もちろん、そのフィルターをつけて撮影した結果は現像が上がってみないとわからない。ポラロイドでテストはしたけれども、フィルムと一致した結果ではなかったから、あとは目分量というか経験値がモノをいった時代だ。

デジタルになって現像ソフトのパラメーターのホワイトバランス 関連のところにある「色かぶり補正」「色相」「色味」など各種呼び方に違いはあるが、マゼンタと緑の軸で色かぶりを補正することがこれでわかると思う。

さて、ではどんな白が見ていて気持ち良いのか。

写真なのだから、トーンがある中でいかに白く感じるか。そこがポイントだろう。

「モノクローム」で撮ってみよう!とお伝えしているのは、「ヒコーキの白を気持ちよく再現する」ということの実は根底部分を鍛えていることに他ならない。

「色かぶり補正」うんぬんの色情報に惑わされることなく、まずはトーン再現を身体と頭に叩き込む。「練習せねば」という強迫観念に駆られる必要はなく、「モノクローム」を楽しんでいれば、自ずと習得しているものだ。

色はあくまでも「モノクローム」の上に乗っているだけ。そういう感覚になれば、白の再現の仕方、捉え方、考え方も変わってくると思う。

日本人は「ブラウンアイズ」だから、気持ちの良い白は「やや青かぶりした白」ともいわれる。

欧米人は「ブルーアイズ」だから、日本人が好む白では「やたら青い白」に見えるそうだ。つまり欧米人は「やや黄色がかった白」を好むとされる理由がこれだ。

ここまでくると人体の神秘まで掘り下げることになるし、色やトーンと人間の感情も無関係ではなく、また外の太陽の光の下で見るか部屋の中の蛍光灯で見るかなど環境による変化も出てくる。

もちろん、モニターキャリブレーションしたモニターで見るのか、何もせず買ったままの状態や経年劣化してブルーチャンネルの発色が劣った状態のモニターなのか。またiPhoneなどの端末で見るなど、写真画像再現機器の違いも大きく関係してくる。

色、トーンと一言でいっても、これだけの変動要素があるわけ。

これをややこしいと思うか、楽しいじゃん!と思うか。

そうすると、「いい白ってなんだ?」って、案外深い。