【2019.5.3】レタッチの範囲を明確にせよ

1. JPG撮りっぱなしの写真

2. RAWデータを何も補正せずに書き出した写真

コントラストや色かぶり、トーンを調整、補正することを「レタッチ」とは言わないと考えている。

「色やコントラストをレタッチする」という表現は、一見すると何の抵抗もなく「そうか」と思ってしまいがちだが、「レタッチ」はあくまでも画像修整(修正)であり、画像補正とは明確に線が引かれるべきなのだ。

つまり、現像ソフトのパラメータを動かしてできる範囲のことは、写真としてできることなので「レタッチ」ではない。

ただし、ネットで「レタッチとは」と検索すると

「カメラで撮影したままの状態から、写真を修正したり撮影者の表現イメージに近づけるように、パソコン上で行う修正作業のこと」

「画像の色の補正や汚れの除去、合成といった画像の修整や加工作業のこと」

「写真や絵画などに手を入れる、手直しをする、修正する。専用画像ソフトで画像を加工する」

「画像ソフトを画像の濃度やコントラストを調整する作業のこと」

などと書かれている。

要するに、現像ソフトでトーンやホワイトバランスなどを調整した段階で「レタッチ」と認定される、といった内容に受け取れる。

だがしかし、私はあえて線引きをしたい。

画像補正は「レタッチ」にあらず。画像修整(修正)が「レタッチ」だと。

そんな言葉遊び、どうでもいいとお考えの方もおられると思うが、実はここ、プロの世界ではお金が絡んでくるのでより明確化していきたいところなのだ。

単刀直入に書けば、画像補正はお金を請求しない。つまり、撮影費に含まれているものという認識だ。

その上で、「レタッチ」、画像修整(修正)は請求の対象となるべきなのだ。

説明しよう。

上の写真は1.がJPG撮りっぱなし、2.がRAWデータをそのまま何も補正せずに書き出した写真だ。

目的に敵っていれば、JPG撮りっぱなしを納品することもある。つまり、画像補正なしだ。

ただ、ほとんどの場合、RAWデータを現像ソフトでトーン調整やノイズの処理、シャープネスを適宜かけて書き出す。

3. RAWデータを現像ソフトで画像補正して書き出した写真

ここまでは撮影費に含まれる撮影者がやるべき範囲のこと。

ここまでの作業を「レタッチ」とは言わない。何でか。写真できる範囲のことだから。

修整(修正)や加工に含まない。

問題は、ここから先だ。

「エプロンのコンクリート表面がやや汚いから綺麗にして欲しい」。そうクライアントから要望があったとする。そこで初めて「レタッチ」の範囲に入ってくる。

4. 「レタッチ」をして、エプロンのコンクリート面を綺麗にした

ところが、重ねて要望がきた。黒とオレンジ色のラインを綺麗にできないかな。

さらに「レタッチ」をする。

5. さらに「レタッチ」をして、黒とオレンジ色のラインを綺麗にした

この明確な定義というか、線引きがお分かりだろう。ちなみにこの段階で要望されていないが、B767のノーズ付近も綺麗にしている。

4.と5.は、写真ではどうにもできない範囲のことをしている。

汚れを除去したり、かすれた線を明確にして綺麗に見せるのは、はっきりとした画像修整、「レタッチ」なのだ。

繰り返すが、トーン調整や色補正は、写真でできることだ。

モノクロの暗室時代だって、フィルムの現像時間を変えたり、紙焼きの段階でコントラストを調整したり、覆い焼きや焼き込みをしていたわけで、写真でできる範囲なわけ。

ここはしっかり線引きして捉えておいて欲しい。

稀に写真の講評などで現像ソフトでできる範囲を「レタッチ」と表現されていたとしたら、少しズレていると言わざるを得ない。

ここでさらに一つ。「画像内のゴミ取りはレタッチになる?」というところだが、ここは「レタッチ」にあらずと考えている。

そもそもゴミは存在しないものであり、それを除去するのは当然のこと。

さらにさらにもう一つ。「パース直しはレタッチになる?」も大事なところ。

パース直しとは室内や建物の外観写真などで水平垂直を出すことだが、これも「レタッチ」にあらずだ。

理由は、フィルム時代には蛇腹式のカメラを使って撮影時にパースを調整して撮影していたから。

フィルムでできていたことが、デジタルになって手軽に一眼レフカメラで撮れるからといって、パースが調整されていないなんておかしな話だからだ。

ここで、??と疑問が浮かぶ方は、フィルム時代からプロとして仕事をしてきた方だろう。

そう、フィルム時代にできていたこと。逆を言えば、フィルム代も現像代もクライアントに「感材代」として請求できていた。

もちろん、「感材代」持ちの仕事も多々あったが、大体は「感材代」はクライアント持ちだった。

それがデジタルカメラになって、現像も撮影費に含まれる。と私もサラリと書いている。画像補正は請求しない、と。

まあ、それはもはやいい。すでにそれが前提となっているから。

あえてお金の話と結びつけたのは、その方が「レタッチ」の範囲が明確になると思ったから。こういった突っ込んだ話は、結構他にも色々あるよ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA